Museum::Shushi bis
辻邦生さんの文学の紹介、文学、クラシックやジャズ、美術。
スポンサーサイト
--年--月--日 (--) --:-- | 編集
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
辻邦生「黄昏の古都物語」
2007年02月07日 (水) 22:38 | 編集
黄昏の古都物語 黄昏の古都物語
辻 邦生 (1992/07/31)
有学書林

この商品の詳細を見る


「黄昏の古都物語」を読みました。前奏曲、間奏曲、終曲と題された掌編と五つの幻想的な短篇の世界です。この短篇は、「芸術新潮1984年9月号」でアール・ヌーボー特集が組まれた際に、田原柱一氏の写真と並べて掲載されたとのことです(あとがきより)。
幻想的な作風は、「天使の鼓笛隊」を想い出させます。それにしても、「幻想特急」が牧草地の真ん中に、レマン湖畔に、セーヌの河底に停車している姿が美しすぎて言葉になりません。正直言って、ヤラレた!と心のなかで叫んでしまったほどです。全編に通底するアール・ヌーボーの愁いを帯びた気怠い美しさの表現や、揺らいだ時間の表現が実に見事です。

美に魅入られるとは、その奴隷になることです。でも、それは、官能の甘い酩酊ゆえに、すべてを売り払った疚しさに似た気持を感じさせます

辻邦生「黄昏の古都物語」有学書林、1992年、214頁

「詩人というのは二重の存在さ、生れつきね。曖昧なところがあるから、健全な人たちには煙たがられる。ところが、詩人ときたら、大人のくせに子供。知っていて、何も知らない。泣いていて、笑っている」

辻邦生「黄昏の古都物語」有学書林、1992年、258頁

それにしても、セーヌの河底に列車を沈めるとは、なんという想像力なのでしょうか! 感歎してやみません。

それから、この短編集に収められた「サラマンカの手帖から」は、何十回と読み直している短篇ですが、今日もまた読んでしまいました。いつ読んでも、思うところがあります。僕にとって理想の短篇と言ってもいいと思います。「サラマンカの手帖から」については、また書いてみたいと思います。

スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL :
コメント :
パスワード :
秘密 : 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
Powered by . / Template by sukechan.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。